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2019年4月 8日 (月)

第1学期始業式 校長講話

みなさんおはようございます。この4月に校長に着任しました江川昭夫と申します。年を迎えたみなさんは新鮮な気持ちでこの始業式に臨んでいるかと思います。5月からは新しい元号、令和がスタートしますが、私たち教職員一同も新鮮な気持ちで新学年をスタートさせたいと思います。

私はこの3月まで、大阪のアサンプション国際中学高等学校で校長をしていました。森村学園に関しては、校長1年生です。私が今抱いている希望を忘れることなく、森村学園のますますの発展のために全身全霊で立ち向かって行くつもりです。どうぞよろしくお願いいたします。

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さて、昨日の入学式で204名の中等部1年生たちが入学してくれましたが、その時に、「グローバルリズム」のお話をさせてもらいました。中1たちは再度聞く部分もありますが、大事なことなので、皆さんにもここで申し上げます。

「グローバリズム」とは、「地球共同体主義」、つまり、各国が「国境の枠を取り払って」経済や環境や貧困の問題を乗り越えていこうという試みです。「国境の枠を取り払って、みんなで手を取り合って平和を築きましょう」ということです。その結果、経済が活性化し、情報伝達もインターネットを通じて20、30年前とは比べものにならないほどに加速しました。例えば有名人がSNSで発信すれば、瞬く間に世界中に情報が広がる、そんな時代になりました。

このようなグローバルな社会が、皆さんがこれから生きていく世界なのです。世界の人たちと手を取り合いながら、より良い社会を創っていく、皆さんにはその一員になっていただきたいのです。

そのためには、必要な力が3つあります。

1つ目は「英語の力」。英語は実質的に世界の公用語ですから、世界の人と意思疎通するためには必須です。そのためにも、森村では英語の勉強に力を入れています。実は私も、もともとは英語科の教員でした。どうか英語だけは嫌いにならずに、少しずつでいいので、上達してください。そのためのお手伝いを精一杯おこないたいと思います。

2つ目は、「たくましさ」です。私は今までいた学校で、高校生や中学生の海外留学プログラムに長年携わってきました。皆さんは、真にグローバルな人というのはどういう人だと思われますか? それについて私は、「好き嫌いをいわずに何でも食べられて、どこでも寝られる人」であると思っています。これからのグローバルな社会で生きていくには、「何でも食べられて、どこでも寝られる」ような、たくましさが求められます。これは女子も男子も関係がありません。どうか森村で出会った友人たちと切磋琢磨しながら、自分なりのたくましさを身につけてください。

最後の3つ目は、「寛容の心」です。先ほど、「グローバリズム」は、「国境の枠を取り払って、みんなで手を取り合って平和を築きましょう」ということだと申し上げました。そして、その結果、経済が大きく発展しました。しかし、その反面、経済が強い国の一握りの人たちだけが豊かになり、そうではない多くの人たちが貧しくなってきました。なぜこのようなことが起こるのでしょう? 答えは簡単です。「国境の枠を取り払って」みんなで手を取りあうのではなく、「国境の枠を取り払って」みんなで競争すれば、強い国が勝つのは当たり前のことだからです。ここで、キーワードをひとつ挙げましょう。それは「非寛容」です。強い国の強い人たちが「非寛容」の心で、弱い国に自国の価値観を押し付けようとすれば、なにが起こるでしょうか? 弱い国の価値観は踏みにじられます。そして、貧富の格差が生まれてしまうのです。では、問題解決のためにはどうしたらいいか? これも答えは簡単です。「非寛容」の反対のことをすればいいのです。そう、「寛容」です。「寛容」とは何か。先ほど生徒指導部長の高橋先生は仲間を励まし、褒めることを言葉で伝えましょう、と言っておりました。それは、心を広く持って人の言葉や行動を受け入れることです。皆さんにやっていただきたいのは、まず周囲の人に対して「寛容」の気持ちを持つことです。これが、グローバル社会に生きていく皆さんの大人への第1歩です。

森村学園では来たるグローバル社会に生きていくみなさんの為に、二つのことに力を入れています。先に出た「英語力」の強化、そして「言語技術教育」です。

授業を受けている上級生たちはもちろん知っていると思いますが、言語技術とは、考えたことを論理的に組み立てて、相手が理解できるように分かりやすく話したり、書いたりする技術です。言語技術は、国際社会で堂々と自己主張をするための技術でもありますが、周囲の人たちと早く、深く、お互いを知るための技術でもあります。周囲の人に「寛容」の心を持って接するときにも、言語技術は役立ちます。技術というと冷たく聞こえると思う人もいるかもしれませんが、そうではありません。この技術は、あなたの心を伝え、相手の心を知るための方法だと思ってください。

言語技術は、日本語だけでなく、英語を話す場面でも発揮されますし、言語技術あってこその英語力とも言える、両輪のような存在です。特に高等部の生徒たちには、この両方を学ぶ意義を理解してほしいと思っています。

さて、目まぐるしく変化するこの21世紀の社会で生き抜くには、自分の頭で考え、見つけ出した課題を解決していく力がなによりも求められます。探究型授業による課題解決力を学び、自頭を柔らかくして『正解のない問いに挑戦する「たくましさ」」も育んで欲しいものです。覚えるだけでなく、考えて欲しいのです。

「知識」を蓄えるためには、今を大切にした、根気よさが必要です。

「思考」は考え続けるという行為そのものです。考え続けることで、世界と向き合い、世界を理解しようと試みることも、これからの21世紀を生き抜くための、大切な学びとなるでしょう。

森村の校訓「正直・親切・勤勉」は「人徳を備え、自らの力で人生を切り拓き、世界の力、社会の力となる人材の育成」の行動指針です。森村の教育は「今後の社会で幸せに生きていって欲しい」という願いのもとにできています。皆さんには、多様な価値観を受け入れることのできる寛容な心を、この学生生活の中で育んでほしいと思っていますし、それを期待して、私の1学期のご挨拶とさせていただきます。